1.土壌汚染対策法とは
【土壌汚染に関する制度年表】
昭和45年 | 農用地土壌汚染防止法施行 |
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平成元年 | 有害物質の地下浸透の禁止(水濁法改正) |
平成3年 | 土壌環境基準の制定 |
平成6年 | 土壌環境基準に揮発性有機化合物を追加と共に、調査・対策指針の制定 |
平成8年 | 地下水浄化命令の規定(水濁法改正) |
平成11年 | 調査・対策指針の改定、ダイオキシン類対策特別措置法施行 |
平成13年 | 土壌環境基準にふっ素・ほう素が追加 |
平成15年 | 土壌汚染対策法施行 |
近年、工場跡地等の再開発等に伴い、土壌汚染や地下水汚染が顕在化し、汚染事例の判明件数は増加傾向にあります。
土壌が重金属や揮発性有機化合物等の有害物質に汚染されると、1.汚染された土壌を直接摂取する事 2.土壌から有害物質が溶け出し汚染された地下水を飲用する事等により、最終的に人の健康に影響を及ぼす恐れが考えられます。
これら土壌汚染を防止する為の法制度確立への社会的要請が強まった事から、土壌汚染対策の実施を図り、国民の健康を保護する目的で、平成15年2月15日から土壌汚染対策法が施行(平成22年4月1日改正)されました。
2.土壌汚染対策法における調査概要
【調査対象の土地とは】
- 有害物質使用特定施設の使用の廃止時(法第3条)
- 一定規模以上の土地の形質変更の届出の際に、土壌汚染の恐れがあると都道府県知事等が認める時(法第4条)
- 土壌汚染により健康被害が生ずる恐れがあると都道府県知事等が認める時(法第5条)
【調査方法概要】
(汚染の恐れが考えられる箇所)100m2に1地点の割合で調査区域内を均等に選定する。
(汚染の恐れが少ないと考えられる箇所)900m2に1地点の割合で調査区域内を均等に選定する。
【分析方法】
土壌ガス調査・土壌溶出量調査・土壌含有量調査・地下水調査 等
3.対象物質と指定基準
特定有害物質 | 指定基準 | ||||
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環境省告示第18号 | 環境省告示第19号 | 環境省告示第17号 | |||
土壌溶出基準 | 土壌含有量基準 | (参考) 地下水基準 |
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(mg/ℓ) | (mg/kg) | (mg/ℓ) | |||
揮発性有機化合物 | 第一種特定有害物質 | 四塩化炭素 | 0.002 | - | 0.002 |
1,2-ジクロロエタン | 0.004 | - | 0.004 | ||
1,1-ジクロロエチレン | 0.02 | - | 0.02 | ||
シス1,2-ジクロロエチレン | 0.04 | - | 0.04 | ||
1,3-ジクロロプロペン | 0.002 | - | 0.002 | ||
ジクロロメタン | 0.02 | - | 0.02 | ||
テトラクロロエチレン | 0.01 | - | 0.01 | ||
1,1,1-トリクロロエタン | 1 | - | 1 | ||
1,1,2-トリクロロエタン | 0.006 | - | 0.006 | ||
トリクロロエチレン | 0.03 | - | 0.03 | ||
ベンゼン | 0.01 | - | 0.01 | ||
重金属等 | 第二種特定有害物質 | カドミウム及びその化合物 | 0.01 | 150 | 0.01 |
六価クロム化合物 | 0.05 | 250 | 0.05 | ||
シアン化合物 | 検液中 に検出されないこと |
50(遊離シアンとして) | 検液中 に検出されないこと |
||
水銀及びその化合物 | 0.0005 | 15 | 0.0005 | ||
(うち、アルキル水銀) | 検液中 に検出されないこと |
- | 検液中 に検出されないこと |
||
セレン及びその化合物 | 0.01 | 150 | 0.01 | ||
鉛及びその化合物 | 0.01 | 150 | 0.01 | ||
砒素及びその化合物 | 0.01 | 150 | 0.01 | ||
ふっ素及びその化合物 | 0.8 | 4000 | 0.8 | ||
ほう素及びその化合物 | 1 | 4000 | 1 | ||
農薬等 | 第三種特定有害物質 | シマジン | 0.003 | - | 0.003 |
チウラム | 0.006 | - | 0.006 | ||
チオベンカルブ | 0.02 | - | 0.02 | ||
PCB | 検液中 に検出されないこと |
- | 検液中 に検出されないこと |
||
有機りん化合物 1) | 検液中 に検出されないこと |
- | 検液中 に検出されないこと |
1)有機りん化合物:パラチオン・メチルパラチオン・メチルジメトン・EPN。
※土壌汚染対策法には定められておりませんが、ダイオキシン類対策特別措置法で、ダイオキシン類土壌環境基準(1000pg-TEQ/g)が定められております。
その他にも以下の様な試料についても分析を実施しております。
- 1)一般土壌
- 2)建設発生土
- 3)土地の改変・改質に伴う土壌
- 4)セメント固化材混入土壌
- 5)河川底質
- 6)湖沼底質
- 7)しゅんせつ土 等
4.使用分析機器一例
5.その他の土壌・底質関連の試験について
土壌汚染対策法以外の土壌・底質関連の試験法は以下の方法があります。
【土壌に関する分析】
- 土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年 環境庁告示 第46号)
(土壌汚染対策法に於ける土壌溶出量調査の項目・基準値は同一です) - ダイオキシン類対策特別措置法
(平成12年環境庁「ダイオキシン類に係る土壌汚染調査測定マニュアル」 (環境基準:1000pg-TEQ/g))
【農用地の土壌汚染に関する分析】
- 農用地土壌汚染対策地域の指定要件に係るカドミウムの量の検定方法を定める省令
(昭和46年 農林水産省令 第47号)
第2条(米に係る検定;基準値:1mg/kg)及び
第3条(土壌に係る検定) - 農用地土壌汚染対策地域の指定要件に係る銅の量の検定方法を定める省令
(昭和47年 総務省令 第66号) 銅及びその化合物(基準値;125mg/kg) - 農用地土壌汚染対策地域の指定要件に係る砒素の量の検定方法を定める省令
(昭和50年 総務省令 第31号) 砒素及びその化合物(基準値;15mg/kg)
【セメント系固化材を用いた改良土の六価クロム溶出試験】
- セメント及びセメント系固化材の地盤改良への使用及び改良土の再利用に関する
当面の措置について(平成12年3月 建設省技調発第49号 建設省営建発第10号)
1.試験方法1:配合設計段階で実施(環境庁告示第46号溶出試験)
2.試験方法2:施工後に実施 (環境庁告示第46号溶出試験)
3.試験方法3:施工後に実施 (タンクリ-チング試験)
【底質調査】
- 底質調査方法 (昭和63年 環水管 第127号)