絶縁油PCB分析

1.PCBとは

 ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、絶縁性、不燃性等に優れた特性を有することから、「トランス」「コンデンサ」といった電気機器をはじめ幅広い用途に使用されましたが、1968年にカネミ油症事件が発生する等、その毒性が社会問題化し、1972年にPCBの製造が禁止されました。
 環境中で分解されにくく(難分解性・環境残留性)、水への溶解度が低い一方、脂溶性が高いため脂肪組織に蓄積し(生物蓄積・濃縮性)、半揮発性で大気経由の移動があり(揮散移動性)、発がん性、免疫系への影響等の毒性が確認されています。

2.国内でのPCB廃棄物処理に関する法律

 平成13年7月「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(通称:PCB特別措置法)が施行され、下記の事が定められました。

  • PCB廃棄物を保管する事業者に保管状況を毎年届け出ること及び平成39年3月末日までに処分することが義務付けられております。
  • 国はPCB廃棄物処理基本計画を策定。都道府県は国の基本計画に則してPCB廃棄物処理計画を策定。
    PCB製造者等は、国及び地方公共団体が実施する施策に協力。

3.PCB使用例

用途 測定方法製品例・使用場所
絶縁油 トランス用 ビル・病院・鉄道車輌・船舶等のトランス
コンデンサ用 蛍光灯・水銀灯等の安定器、冷暖房器・洗濯機・白黒テレビ・電子レンジ等の家電用、モーター用等の固定ペーパーコンデンサ、直流用コンデンサ、蓄電用コンデンサ
熱媒体(加熱と冷却) 各種化学工業・食品工業・合成樹脂工業等の諸工業における加熱と冷却、船舶の燃料油予熱、集中暖房、パネルヒーター
潤滑油 高温用潤滑油、油圧オイル、真空ポンプ油、切削油、極圧添加材
可塑剤 絶縁用 電線の被覆・絶縁テープ
難燃用 ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ゴム等に混合
その他 接着剤、ニス・ワックス、アスファルトに混合
感圧複写紙 ノーカーボン紙(溶媒)、電子式複写紙
塗料・印刷インキ 難燃性塗料、耐食性塗料、耐薬品性塗料、耐水生塗料、印刷インキ
その他 紙等のコーティング、自動車のシーラント、陶器ガラス器の彩色、カラーテレビ部品、農薬の効力延長剤、石油添加物

トランス及び構造説明高圧コンデンサ及び構造説明

4.判定基準値

0.5mg/kg(0.5ppm) 特別管理産業廃棄物としての判定基準

※トランスやコンデンサ中のPCB含有量を調査し、0.5mg/kg(0.5ppm)以下であればPCB廃棄物に該当しませんが、廃油以外の産業廃棄物では、以下の基準が適応されます。

区分 環境省令で定める基準
1.廃酸・廃アルカリ 0.03mg/ℓ以下
2.廃プラスチック・金属くず 廃プラスチック・金属くずにPCBが付着していない、又は封入されていないこと
3.陶磁器くず 陶磁器くずにPCBが付着していないこと
4.上記以外の廃棄物 0.003mg/ℓ以下

5.弊社では、用途に応じ、以下の分析を実施しております。

サンプリングセット
絶縁油試料採取セット

GCーECD器
GC-ECD法
(絶縁油・産廃関連等)

GC/MS ガスクロマト質量分析器
HR-GC/HR-MS法
(PCB処理後の確認試験等)

「絶縁油試料採取セット」もご用意させて頂いておりますので、お気軽に御連絡頂けます様、お願い申し上げます。尚、送付頂きました試料につきましては、法律の関係上、ご返却させて頂きます。