産業廃棄物分析

 高度経済成長や生活の向上に伴い、廃棄物の質的変化・多様化・著しい量の増大等、社会問題となったゴミ問題に対応する為、それまで制定されていた清掃法を全面的に改める形で、昭和46年廃棄物の処理及び清掃に関する法律が施行されました。

1.廃棄物の分類

 廃棄物は、下図の様に分類されます。

一般廃棄物:産業廃棄物以外のもの 特別管理一般破棄物:一般廃棄物の内、爆発性・毒性・感染性等人の健康又は生活環境に係る被害を生ずる恐れがある性状を有する物で政令で定める物。 産業廃棄物:1,事業活動に伴う20種類の廃棄物で、燃え殻・汚泥、廃油・廃酸・廃アルカリ・廃プラスチック類・紙くず・木くず・繊維くず・ゴムくず・金属くず等 2,国外で発生し、輸入された廃棄物 特別管理産業廃棄物:産業廃棄物の内、爆発性・毒性・感染性等人の健康又は生活環境に係る被害を生ずる恐れがある性状を有する物で政令で定める物。

2.産業廃棄物に係る判定基準

 産業廃棄物を処分後、埋立等の処理を行ないますが、その為の判定基準について、金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令(昭和48年)やダイオキシン類対策特別措置法(平成11年)等に基づき定められており、産業廃棄物の種類や処分方法で判定基準が異なります。

処分方法 埋立処分 海洋投入処分
集中型排出 拡散型排出
産業廃棄物の種類 1.燃え殻 2.汚泥
3.鉱さい 4.ばいじん
5.これらを処分する為に処理したもの 1)
無機性汚泥 有機性汚泥 廃酸
廃アルカリ
規制項目と規制値 溶出試験
(mg/ℓ)
溶出試験
(mg/ℓ)
含有量試験
(mg/kg)
含有量試験
(mg/ℓ)
1 アルキル水銀化合物 不検出 不検出 不検出 不検出
2 水銀又はその化合物 0.005 0.0005 0.025 0.025
3 カドミウム又はその化合物 0.3 0.01 0.1 0.1
4 鉛又はその化合物 0.3 0.01 1 1
5 有機燐化合物 2) 1 不検出 1 1
6 六価クロム化合物 1.5 0.05 0.5 0.5
7 砒素又はその化合物 0.3 0.01 0.15 0.15
8 シアン化合物 1 不検出 1 1
9 PCB 0.003 不検出 0.003 0.003
10 トリクロロエチレン 0.3 0.03 0.3 0.3
11 テトラクロロエチレン 0.1 0.01 0.1 0.1
12 ジクロロメタン 0.2 0.02 0.2 0.2
13 四塩化炭素 0.02 0.002 0.02 0.02
14 1,2-ジクロロエタン 0.04 0.004 0.04 0.04
15 1,1-ジクロロエチレン 0.2 0.02 0.02 0.02
16 シス-1,2-ジクロロエチレン 0.4 0.04 0.4 0.4
17 1,1,1-トリクロロエタン 3 1 3 3
18 1,1,2-トリクロロエタン 0.06 0.006 0.06 0.06
19 1,3-ジクロロプロペン 0.02 0.002 0.02 0.02
20 チウラム 0.06 0.006 0.06 0.06
21 シマジン 0.03 0.003 0.03 0.03
22 チオベンカルブ 0.2 0.02 0.2 0.2
23 ベンゼン 0.1 0.01 0.1 0.1
24 セレン又はその化合物 0.3 0.01 0.1 0.1
25 有機塩素化合物 3) - 1 4 4
26 銅又はその化合物 - 0.14 10 10
27 亜鉛又はその化合物 - 0.8 20 20
28 弗化物 - 3 15 15
29 ベリリウム又はその化合物 - 0.25 2.5 2.5
30 クロム又はその化合物 - 0.2 2 2
31 ニッケル又はその化合物 - 0.12 1.2 1.2
32 バナジウム又はその化合物 - 0.15 1.5 1.5
33 フェノール類 - 0.2 20 20
34 ダイオキシン類 3
(ng-TEQ/g)
3
(ng-TEQ/g)
3
(ng-TEQ/g)
100
(pg-TEQ/?)

1)1.燃え殻 3.鉱さい 4.ばいじん、これらを処分する為に処理したものについては、その種類により規制される項目が異なります。
2)パラチオン・メチルパラチオン・メチルジメトン及びEPN。
3)PCB・ポリ塩化ビニル(共重合物を含む)・ポリ塩化ビニリデン(共重合物を含む)・ポリクロロブタジエン・ポリエチレン・塩素化合物・ポリジクロロブタジエン・ポリプロピレン塩素化合物・ポリブタジエン塩素化合物を除く。

3.使用分析機器一例

GC/MS ガスクロマト質量分析器
GC/MS ガスクロマト質量分析器
ICP発光分析装置 金属元素を測定する