RoHS指令・ELV指令等分析

1.RoHS指令とELV指令

プリント基板写真 様々な工業製品が世界各国で生産され、流通しておりますが、「1994年12月に制定された包装品・包装廃棄物指令」、「2000年10月にEUで発行されたELV指令(1)」、「2006年7月にEUで発行されたRoHS指令(2)」、「2007年3月に中国で施行された電子情報製品生産汚染防止管理弁法(中国版RoHS)」等の施行により、包装材・自動車製品・電気電子製品等は、特定有害物質について閾値を超えて含むことが出来なくなりました。

(1) ELV (End-of-Life Vehicles)
 使用済み自動車のリサイクルや処分に関するEU指令で、2000年10月に発効されました。自動車メーカーは、2003年7月以降に販売される製品について、鉛、水銀、カドミウム、六価クロムの4物質の使用制限をしなければならなくなりました。

(2) RoHS(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment)
 電子・電気機器における特定有害物質の使用制限に関するEU指令で、2003年2月13日に発効され、電子・電気業界は2006年7月以降に販売される製品について、現在製品に使用している鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、臭素系難燃剤のポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)の6物質について使用制限しなければならなくなりました。尚、中国版RoHSでも6物質について規制対象となっております。

2.分析対象例

分析対象となる部品・材料の一例には次の様な物があります。

  • 電気部品・プリント配線板・包装材料・配線・ねじ
  • 副資材(粘着テープ・はんだ材料・接着剤・包装紙)
  • 取扱説明書
  • 配送保護に用いる包装材
    (木枠・袋・緩衝材・ラップ・段ボール・テープ・結束バンド・ラベル・印刷インキ・塗料等)

3.分析方法と閾値について

 弊社では2004年より分析に着手し、RoHS指令等に定められたPBB・PBDEを含む6物質全ての分析に対応しております。また、ISO/IEC 17025認定試験所として認定登録を受けております。

項目 前処理方法 分析装置 RoHS閾値 ELV閾値
Cd ・湿式分解法・硫酸灰化法
・マイクロウエーブ分解法
ICP-AES 100 100
Pb ・酸分解法・硫酸灰化法
・マイクロウエーブ分解法
ICP-AES 1000 1000
Hg ・酸分解法・燃焼分解法
・マイクロウエーブ分解法
還元気化原子吸光
6Cr ・水抽出法・温水抽出法
・不活性ガス抽出法
吸光光度計
(ジフェニル・カルバジド法)
PBB
PBDE
・ソックスレー抽出法
・液一液抽出法
GC/MS 各1000 -
HR/GC-HR/MS

(単位:ppm)

※包装品・包装廃棄物指令(94/62/EC)についての閾値は、4金属(Cd・Pb・Hg・6Cr)合計のトータルで、100ppm(重量比)以下。
※閾値について、各メーカー独自で設定されている場合がありますので、製品納入先へご確認下さい。
※定量下限値は、試料量・試料性状により、変更させて頂く事もございます。
※原則として部品単位での分析となります。

蛍光X線分析装置(EDX)

☆その他、蛍光X線分析装置によるスクリーニング測定も可能です。☆
(但し、六価クロムは全クロム、PBB・PBDEは臭素としての測定となります)

4.使用分析機器一例

誘導プラズマ発光分析装置(ICP-OES)高分解能GC/MS金属類分析