室内環境測定(シックハウス)

1.シックハウス症候群とは

 日本人の住環境に対する考え方は、この数十年で大きく変化をしました。夏でも風通しが良く、室内の湿度が適度に保たれる天然素材で建てられた昔ながらの家から、最近は居住空間の快適性が求められ、気密性・断熱性の向上やエアコン依存度の上昇、外出の多いライフスタイルによる換気不足等、生活環境の変化が室内環境の悪化、即ち『シックハウス症候群』の要因として考えられております。
 また、住宅の新築や改装工事後、住宅建材から室内に発生する揮発性の化学物質やダニ・アレルギーが原因で体調不良、健康障害等を引き起こす事と言われておりますが、未だその定義は明確にされておりません。シックハウス症候群の症状は個人差が大きく、本人にしか自覚出来ない症状が多い為、自律神経失調症・更年期障害・風邪・精神疾患等と間違われてしまう事もある様です。

2.物質名・指針値・関連法

物質名 指針値 (厚労省)
室内濃度指針
(文科省)
学校環境衛生
(国交省)
建築基準法
(国交省)
住宅性能表示
用途や推定される発生源
ホルムアルデヒド 100µg/m3
(0.08ppm)
合板・接着剤・防カビ剤
アセトアルデヒド 48µg/m3
(0.03ppm)
接着剤・防腐剤
トルエン 260µg/m3
(0.07ppm)
- シンナー・塗料・接着剤・ラッカー
キシレン 200µg/m3
(0.05ppm)
- 塗料・芳香剤・接着剤・油性ペイント
エチルベンゼン 3800µg/m3
(0.88ppm)
- 塗料・接着剤
スチレン 220µg/m3
(0.05ppm)
- - 断熱材・畳・接着剤・発泡スチロール
パラジクロロベンゼン 240µg/m3
(0.04ppm)
- - - 防虫剤・防臭剤
テトラデカン 330µg/m3
(0.04ppm)
- - - 灯油・塗料
クロルピリホス 1µg/m3
(0.07ppb)
- - - 殺虫剤・防虫剤・防蟻剤
フェノブカルブ 33µg/m3
(3.8ppb)
- - - 殺虫剤・防蟻剤
ダイアジノン 0.29µg/m3
(0.02ppb)
- - - 殺虫剤
フタル酸ジ-n-ブチル 17µg/m3
(1.5ppb)
- - - プラスチック可塑剤・塗料・顔料・接着剤
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル 100µg/m3
(6.3ppb)
- - - 可塑剤・壁紙・床材

 尚、室内空気質の総揮発性有機化合物(Total Volatile Organic Compounds; TVOC)の暫定目標値が400μg/m3と設定されております。この暫定目標値は、室内空気質が清浄な状態であるという目安として設定された物であり、竣工後居住を開始してある程度時間が経過した状態における目安です。

3.サンプリング方法(パッシブ法)

パッシブサンプラー写真
【パッシブサンプラー】
左:VOC用 右:ホルムアルデヒド用

 測定方法はとても簡単!ご自身で捕集キットを24時間(目安)、ひもでぶら下げるだけです。大掛かりなポンプ等の装置は使用しません。是非、快適な室内環境作りにお役立て下さい。(※アクティブ法も実施しています)

4.シックハウス症候群を防ぐ為の対策

 シックハウス症候群を防ぐには、化学物質の使用を極力抑えた建材や接着剤を使用した物を選択する事が大切です。また、こまめに換気をする事や衣類の防虫剤を使用する場合、製品表示の標準使用量を守る様、心掛ける事も大切です。
 それ以外にも、私たちの身の回りには様々な化学物質があり、家具、カーテン、日用品(芳香剤、殺虫剤)等からも放散する可能性も考えられるので、化学物質をなるべく室内に持ち込まない様に注意を払う事が必要です。